ものがたりの手引き 第3回
文:
氷川竜介(明治大学大学院特任教授)

中野稔さんへの追悼:現実を飛躍させたパイオニア

中野稔さん(なかの・みのる)さんが2021年4月4日、死去されました。そこで今回は特別コラムとして、初期ウルトラマンシリーズを中心に中野稔さんのお仕事を振りかえり、シリーズ発展にどういう意味があったかを再確認したいと思います。
朝日新聞での訃報の肩書きは「視覚効果技師」となっていて、4月15日には『ウルトラQ』のメインタイトルやバルタン星人の分身の写真とともに、石飛徳樹記者による特集記事「バルタン星人の分身術、特撮の青春時代 中野稔さん追悼」が大きく組まれています。
(ネットでも読めます: https://digital.asahi.com/articles/ASP4G45RNP4FULZU002.html?_requesturl=articles%2FASP4G45RNP4FULZU002.html&pn=5
まだ日本大学の学生だったころの中野さんは、佐川和夫さんたちと円谷英二特技監督のもとを訪問し、私設だったころの円谷特技研究所に参加します。そして20代の若さで円谷プロダクションの創設メンバーに加わって本格的テレビ特撮の現場で活躍し始めます。その中でも合成技術を中心に、ウルトラマンシリーズ初期作品において現実を飛躍させるイメージを底支えした重要スタッフです。